けむ

 当サイトでは歴史上の人物の足跡を辿っているのであるが、歴史の中で扱われている物事の中には現時点で確定している物事とそうでない物事が存在する。確定している物事は断定的に記せるが、そうでないものは断定的には記せない。確定していない物事についていうと、具体的な証拠がなく本当なのかと疑問に思える物事と、その物事の周辺の事柄と照らし合わせてある程度の高い確率でそうなのではないかと考えられうるものに分類できる。後者の場合には確定できないにしても、多少ぼかしたような表現で記すことは可能である。当サイトではその様な場合に「けむ」を使っている。「けむ」は過去の推量や過去の伝聞を意味する古語の助動詞だが、当サイトでは過去の伝聞の意味で「けむ」を使っている。「けむ」を辞書で引けば、過去の伝聞の場合には「(〜し)たそうだ」とか「(〜し)たとかいう」などと訳されている。
 過去の伝聞を示す言葉として現代語の「(〜し)たそうだ」の「たそうだ」は四文字で、「(〜し)たとかいう」の「たとかいう」は五文字であるが、これらに対して「けむ」は二文字となっている。この点、短い言葉で意味を伝えるという意味においては「けむ」が優れていると言えるだろう。

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